基礎・全般

1 旅する二人の職人

2021年3月29日

 

昔、太った仕立屋と痩せて背の高い靴屋が修行の旅をしていました。年齢も育ちも似ていたので話が合い、道連れになったのです。

ある日の夕暮れ、宿が見つからず心細くなっていたところ、囃子の音が遠くから聞こえてきました。
見ると丘の上で踊る人影が見えます。二人は吸い寄せられるように登りました。

頂上では小人の男女が輪になって、不思議な音楽で歌ったり踊ったりしていました。
輪の中心に立派な白い髭の年寄りの小人が座って、太鼓を叩いています。

年寄りの小人は二人に気づくと尋ねました。
「自分のことは好きかね」。
太った仕立屋は「はい」と即答しました。
痩せて背の高い靴屋は少し間が空いて「まぁ、好きです」と答えました。

年寄りの小人は「お入りなさい。ここは自分が好きな者だけの集まりじゃ」と言いました。
だから楽しそうなんだと二人の旅人は納得しました。

二人は最初恥ずかしがっていましたが、やがて吹っ切れて一緒に踊りました。小人たちはそれを見て、また盛り上がりました。

いい感じに陶酔していた頃、年寄りの小人がベルトに差してあった幅広の包丁を取り出して、あっという間に二人の頭も髭も剃ってしまいました。

年寄りの小人は「ところで、自分の短所も好きかね」と聞きました。
仕立屋は苦笑しながら「はい。自分は抜けていて失敗もいっぱいしましたが、それも含めて好きです」と言いました。
靴屋はなかなか答えられず「過去の失敗で許せないことや恥ずかしい思い出があります。今の自分もまだまだです」と答えました。

年寄りの小人は頷き、横にあった石炭の山を指して「好きなだけ持っていくがよい」と言いました。
二人は石炭を貰っても汚れるだけで嬉しくなかったのですが、仕立屋はせっかくだからと上着のポケットにしこたま詰めました。靴屋は無下に断るのも悪くて一個だけ上着に入れました。

二人は宿探しに戻り、夜中にやっと見つけて、藁の布団の上に寝転び、上着を引っ掛けて寝ました。

翌朝、仕立屋は上着があまりに重いので、早く目覚めました。ポケットを見てみると石炭がまばゆい金の塊に変わっていました。二人とも髪や髭は元通りに戻っています。

靴屋は一個しか金塊がないので悔しがり、今夜も行こうと誘いました。仕立屋は満足しているし、これ以上重くなっては歩けないので断りましたが、もう一泊するのは了解しました。

二泊目の夜、仕立屋は小人に感謝しながら十分に飲み食いしてご機嫌になりました。
夜が更けた頃、靴屋が頭と髭を剃られて、大きな袋いっぱいに詰めた石炭を持って、意気揚々と帰ってきました。

翌朝、靴屋がおいおい泣いています。髪や髭は生えておらず、石炭も石炭のままです。
上着に入れた金塊は大丈夫だろうと見てみたら、それも石炭に戻っていました。
その後、靴屋はずっと髪も髭も生えませんでした。

一方の仕立屋は髪も髭もふさふさして、金の塊も使い切れないほどあって、一生幸せに暮らしたそうです。

(おしまい)

 

※グリム童話(182 小人たちの贈り物)の設定を借りています。

 

 



引き寄せの法則ジャンルのブログランキングに参加しています。
創作意欲やモチベーションの源泉になりますので
(つまらなかったらスルーして頂いて構いませんが、)
面白かったり、役に立ったと思ったら以下のボタンをポチッと押してください。
↓  ↓  ↓
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 引き寄せの法則へにほんブログ村

 

こちらもよろしくお願いします
↓  ↓  ↓
人気ブログランキング

 

 


HOME (引き寄せの法則,寓話)  創作寓話リスト  禁無断転載 All rights reserved. 

-基礎・全般

© 2021 ムー屋寓話@引き寄せの法則