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12 自分探しのバッタ

若いバッタが木の上で遠くを眺めていました。
田畑を食い尽くすバッタの群れはもう遠くに行ってしまいました。
草木が悲しんでいる気がして、一緒に行動するのが嫌になったのです。

前にも何度か群れを出ようとしましたが、食べられなくなるのが怖くてできませんでした。
ある時期から『自分の才能、本当の自分、生きがい、天職』というキーワードが気になったのですが、やりたいことも、何が得意なのかも分からないままでした。

それでも自分の才能を活かした仕事に就いてお金持ちになりたいという願いは日に日に強くなりました。
それが臨界点に達したのでしょうか。
数日前から群れを出るべきだと何かが突き上げてきたのです。

これからは身を守るのも、仕事を見つけるのも自分でしなければなりません。
でも何から手をつけていいのか分からず途方に暮れていたら、地面がモコモコと細く盛り上がり動いていきます。
止まるとオケラが顔を出しました。

バッタは興味が湧いて、近くに行きました。
並んでみると何となく似ていたので親近感が湧きました。
「君は色々できていいね」
「嬉しいこと言ってくれるね。皆、オイラをどれも大したことないって言うんだけど」
「飛ぶ、泳ぐ、歩く、掘るだっけ?」
「あとジャンプと鳴く、よじ登る。ケラ芸ってバカにされるけど、掘るのは実は凄いんだ。アリさんから巣の大規模修繕の注文がくるよ」
「へ~、凄いね」

「君はバイオリンが得意なんだろ?」
「それ、キリギリスね。僕は……何だろうね。分からないんだ」
「オイラみたいに手当たり次第やってみたら?」
「そうなんだけど……。君が羨ましいよ、多芸の中から選べて」

「君のジャンプ力は凄いじゃないか。飛ぶ距離も」
「そうかな。皆、これくらい普通でしょ」
「自分の才能を一番評価しないのは自分、とはよく言ったものだよ」
「え、そうなの?」
「自己評価が低いと幸せになれないよ」
「……」。

バッタは飛翔と跳躍力を活かすために、デリバリーの仕事に就いてみました。
向いていることが分かって、物流の業界内で転職を繰り返して、しばらくして独立しました。
その後も順調に成長できました。

風の噂に聞くと、群れは行く先々で食い尽くし、遂に食べ物がなくなって全滅したそうです。

(おしまい)

 



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