恋愛・婚活

34 まず決めなさい 後編

前編はコチラ

霧の中の入国審査カウンターでお婆さんと若い女性が向き合っています。
「ずばり言うけど、お前さん、決めるのが怖いんだろ」
「え……」。若い女性は困惑した顔になります。
「結婚したら、今までの気楽な生活とおさらばしなきゃなんない。子供ができたら、自分の時間もなくなるし、やりたいことも我慢しなきゃなんなくなる。旦那が失業する可能性も、DVになる可能性もゼロじゃない。そこら辺の心の整理は出来てないだろ?」
「心配してたらキリないし、ある程度の覚悟はしてるつもりです。でも住む所とか、親のこととか、仕事を続けられるかとか不安な部分はあります」
「ふむ」と言ってお婆さんは立ち上がりました。「ここじゃ、狭っ苦しいから屋上に行こうか」
「え、離れていいんですか」
「この審査場はお前さん専用だから、他には来ないんだよ」。お婆さんはさっさと歩き始めます。

いつの間にか二人は屋上に出ていました。
滑走路からひっきりなしに飛行機が離陸していきます。プロペラの小型機もあれば、大きなジェット旅客機もあり、さらにはロケットまであります。
「いろんなのがあるんですね」
「願いを届ける飛行機さ。願いの種類によって小型でいい場合もあるけど、宇宙に届けるならロケットになるね」
「あ、アレ」。若い女性が指差したプロペラ機がほぼ垂直に上昇していきます。「まさか宇宙に行くつもりじゃ……」
「まあ、見ててごらん」とお婆さんが言いました。しばらくすると燃料が切れたみたいにヒラヒラと落ちてきて、最後は地面に激突しました。
「う……、見ちゃいけないもの見てしまったような……」

「ほら、アレも見てごらん」。お婆さんが指差したプロペラ旅客機は離陸して間もなく方向が定まらなくなりました。東西南北どちらに進んでいいか分からないようです。そのうち疲れたように戻ってきて、車輪が出ないのか胴体着陸し、火花を撒き散らしながら滑走路を滑っていきます。消防車がいっぱい出てきて大騒ぎですが、大事には至らなかったようです。

別の滑走路では大型ジェット機が離陸すると一直線に上昇し、やがて見えなくなりました。
「あのジェット機はブレなかったですね」と若い女性が言いました。
「アレはチームが乗ってるね。目標に向けて団結してるから、間違いなく願いは叶うだろう」。

お婆さんが若い女性を見ます。「お前さんの飛行機が飛び立ったら、どうなるだろうね?」
「う……」
「私がイミグレーションスタンプを押したら、お前さんの飛行機は飛び立つんだよ」
「う~、マジか……、何か怖いんですけど」
「止める?」
「いやいや、一生結婚しないなんてイヤです。子供は欲しいんで」
「二言はない?」
「はい。そこはブレないです」
「じゃあ、大丈夫」と言ってお婆さんは頷きます。「相手の条件次第で結婚する、しないじゃなくて、まず自分の中で決める。結婚するって決心する。相手じゃない、自分なんだよ」

「私っすかぁ……」
「腹くくったら、いい人がいたら~なんて甘っちょろい言葉は使わなくなるから」
「イテテテ」と言って、若い女性は苦笑します。
「でも私んとこに辿り着いただけ大したもんだよ。あともう少しだ。頑張りなよ」
「え、本当ですか」
お婆さんが微笑むと辺りはぐるぐる渦を巻き、霧に包まれ、やがて真っ白になりました。
遠くで鳴っていた目覚まし時計の音が近くになりました。

(おしまい)

 

 



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