仕事

7 なんで俺様が昇進しないんだ

森の中の職場でオスのライオンが残業をしていました。
皆が帰って誰もいなくなると呟きが漏れます。
「クッソー、なんでトラの野郎が先に昇進するんだよ。俺様のほうが仕事はできるし、上司にも客にもウケがいいだろ。あいつ裏でなんかして、取り入ってるんじゃねえか?」。

声に出して言うと耳に入り、さらに腹が立ちます。
ライオンは気分的に疲れてしまって、切り上げることにしました。

まっすぐ帰る気になれなくて、久々にお酒を飲むことにしました。
いつもは目もくれないので気づきませんでしたが、帰り道に新しいバーができていました。
看板に『とまり木』と書いてあります。素朴な店構えで安心して飲めそうです。

扉を開けて中に入ると、カウンターの向こうに止り木があって、ナマケモノがぶらさがっていました。
「オマエかよ」とライオンは思わず言ってしまいました。
「いらっ……しゃあ~い」と言ったきり、ナマケモノは黙っています。

ライオンは焦れてきます。「お好きな席にどうぞとか、何か言うだろ普通。おしぼりとか、お通しは?」
「うちは……セルフなんで」
「だろーね。それしかないよね」
「どぉ~したの……、イライラしてる?」。

ライオンはすぐには答えず、自分ですべてセットして、ウィスキーをロックで一口飲んで、溜め息をつきました。

ぽつりぽつりと今日の出来事を話しました。
「なるほどね……」と言ってナマケモノはまた黙ります。
ライオンはイライラするのが馬鹿らしくなって、放っておくことにしました。

「アナタ、本当に昇進したかったの?」とナマケモノが言いました。
「え、そりゃ、そうさ」
「責任が重くなる割に給料上がらないとかない?」
「それはあるよ。でもその先に進めないから」

「ふ~ん。じゃ、トラさんが先に昇進するかもって思ったことは?」
「あるね。それをバネに頑張ってきた」
「恐れてた?」。今度はライオンが黙ってしまいます。

「若いからムキになるの分かるけど、先は長いし、トラさんを祝福してみて」とナマケモノが言いました。
「は? いや、なんでだよ」

「怒りのパワーでは限界があるわ。その前に炎で身を焦がしてしまう。トラさんの悪口や妬みは、心の底にいる本当のアナタが耳を澄まして聞いている。それは自分の価値を下げること。それでもいい?」
「……」

「心からトラさんを祝福できるようになったとき、アナタは祝福されるのにふさわしいチャンスが来るわ」。

しばらく黙っていたライオンが、イテテと言って、胃の辺りを押さえます。
「空きっ腹にウィスキーはよくないな。そろそろ帰るよ」。多めのお金がカウンターに置かれました。

「おや、申し訳ないね、ありがとうね。……悪いけどレジに入れといて」。
「本当セルフだな、ココ」と言ってライオンは苦笑します。
「でも、ま~、アレだ。近いうちにまた来るよ」。
ライオンは笑顔で外に出ました。

(おしまい)

 



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